え、断られなかった? それって、それって――――


「保留ってこと?」


 自然と漏れた言葉に驚いて、私は慌てて自分の口を押える。


 悠ちゃんは恥ずかしそうに言葉を詰まらせながら言った。


「えっと、まあ……うん。そういうことになるかな。小さい頃、琥珀が俺のこと好きだったのは知ってたけど、それが今も変わらないって知って、正直驚いてる。だから、少し考える時間をくれないか」


 ああ、この気持ちを何と伝えたらいいだろう。

 私のしてきたことは、少なくとも、間違ったものじゃなかったのかもしれない。

 そう証明してもらえたみたいで、嬉しくて、嬉しくて、泣きそうだ。


「悠ちゃんは、私を妹みたいに思ってるんじゃないの? ちゃんと異性だって分かって言ってる?」


 それでも今までの経緯もあり、不安になってしまうから、つい、そんなズルいことを聞いてしまった。

 悠ちゃんは沈みかけた夕陽を背景に、当然といった表情で言った。


「お前はいつだって、ちゃんと女の子だろ」


 悠ちゃんの言葉をその場で噛み締める私の様子は、さながら心配になってしまいそうな、近づいてはいけないような雰囲気を醸し出していたことだろう。

 だってこれからは、妹としてではなく、一人の女の子として認識される日々が増えていくってことでしょう?