「ごふっ!」


 盛大にお茶を拭き出しながら動揺する私を悠ちゃんは驚くことなく見つめている。


「え、ちょっと待って、何?」


「だから、琥珀の好きな奴が俺だろ? って話」


「……その自信は一体どこから沸いてくるのよ」


 溜息をつきながら、どうにか誤魔化そうとやんわり否定してみるが、悠ちゃんの余裕は変わらない。

 いつだ、いつから気が付かれていた?


「いやいや琥珀さん、昔からアナタが俺にゾッコンなのは知ってましたけど、それが現在進行形だったのはさすがに驚きましたけど、まあ――――うん、さっきの盛大な告白は中々だったぞ。だから、そんなに落ち込むなよ」


 告白する前に好きな人に気付かれるとか、どんな拷問だ。

 恥ずかしさと惨めさで泣きそうになる気持ちを堪えながら、私は諦めたように口を開いた。


「ああ、そうですよ。昔っからずっとずーっと、バカで鈍感な幼なじみのことが好きでしたよ! 悪い?」


 本当は、こんな場所で、こんな形で気持ちを伝えるハズじゃなかったのに。

 私は投げやりな気持ちで悠ちゃんに言葉を文字通り投げつける。


 どんな答えがきても、私は受け止める気でいた。


「悪いっつーか、ちょっと心の整理してもいい?」


 そんな私に、悠ちゃんは意外な回答をした。