「んー、正確には覚えてないけど……私だけがずっと好きだったから不安だった! とか、そんな内容」
当時の彼女の胸の内を思うと、とても笑って返せる話ではなかった。今の私が彼女と友達関係だから、尚更。
「うん、そうだね、それは希望ちゃんもあんな風になるわ……同情する」
彼女の痛みが、自分のことのように分かる。
「悪いことしたよ、本当。もっと大人にならなきゃってマジで思ったし」
「いい傾向じゃん」
失敗し、自分で何が悪かったのか考え、反省する。
それは思っている以上に難しい。大人でさえ、出来るかどうか怪しいほどに。
悠ちゃんは実体験の中で少しずつ大人になるための術を学んでいるようだった。
「で、今までの会話から、一つ、爆弾発言していい?」
「どうぞ?」
冷えたお茶をカラカラの喉に流し込みながら私は悠ちゃんに会話の主導権を渡す。
質問者となった悠ちゃんは、私に向かって本日最大の、いや、人生最大の爆弾を落とした。
「琥珀の好きな奴って――――俺だろ」