「俺さあ……この間、琥珀のおかげで希望と仲直りしただろ?」
「ああ、うん」
「それでその一週間くらい後に希望と話す機会があったんだけど」
「それで?」
「そこで電話でも言ってた、あいつの今好きな奴の話をされてさ」
暗くなっていく悠ちゃんの顔色とは裏腹に、私は平然と答える。
「うん、廈織くんでしょ」
「そうそう、廈織――――って! 知ってたのかよ!」
「はあ? 何言ってるのか分からないんですけど。一応私と希望ちゃん、色々あったけど今は普通に友達なんですけど。恋バナとかするんですけどー」
単に少しムカついた。
自分の方が希望ちゃんのことを知っている、といったその態度に。
私は悠ちゃんに向かって頬を膨らませながら対抗した。
女の子の友情は薄いと言われがちだけれど、時と場合によって、これほど力強いものもない。
多くの女の子は、常に共感してくれる誰かを探している。
それは恋人の場合もあれば、友達も場合もあるけれど、圧倒的に波長が合うのは同性だ。
妥協から始まった私と希望ちゃんの友好関係だが、現時点では良好に関係を構築している。
私が彼女と本当の意味で友達になれる日は、遠くないのかもしれない。
「へえ。琥珀の恋バナなんて想像できないなあ……ってことはお前もいるのか? 好きなやつ」
「へ?」
これはとんでもない爆弾を自分で放ってしまったらしい。
私の声は恥ずかしいくらいに裏返る。