「ねえ、悠ちゃん」
「んー?」
「その、ありがとうね」
「え?」
「屋上に連れて来てくれたこともあるけど……アイスも」
悠ちゃんは一瞬信じられないといった様子でこちらを凝視したあと、照れ臭そうに私から視線を外して言った。
「あーおう……でも、こんなに人がいると休めるもんも休めないよな。ごめん」
申し訳無さそうに笑う悠ちゃんに、私は首を横に振って言った。
「平気! 外の空気吸えたし、もうほとんど回復したよ」
「そっか、それなら良かった」
そう言って、優しく微笑まれ、私はなんだか照れ臭くなって俯く。
「そういえば、さ」
先程アイスを食べたせいで喉が渇き、何か飲み物を買おうと、座りながら近くの売店のメニューを眺める私に悠ちゃんが声をかける。
「なあにー?」
「お前、知ってた? 希望の好きな奴」
悠ちゃんの言葉に私は勢いよく売店に向いていた視線を戻す。
それこそ首を半回転させる感じで。
悠ちゃんがどうしてそのことを知るに至ったのか、希望ちゃんが彼に何を語ったのか、純粋に興味があった。