もう少しまともな体調の確認方法はなかったのか、と言いたい気持ちを抑えながら私は悠ちゃんの手からカップに入った通常サイズのレモンシャーベットを受け取る。

 悠ちゃんは晴香さんにキャラメル味のアイスを、お母さんに抹茶アイスを手渡すと、晴香さんの隣に座った。

 そこでようやく私たち親子は立ちっぱなしだったことに気が付き、二宮家の向かいにプラスチックの机を挟んで腰を下ろした。


「おい、琥珀」


「なに?」


「それ、溶けるぞ」


「あ、ああ」


 見ると、会話に夢中になっている間に悠ちゃんがくれたアイスが溶けかかっていた。

 私は慌ててレモンシャーベットを口に運ぶ。


「まだ体調悪いのか?」


「……ちょっとだけね」


「そっか――――よし」


「?」


 私の返答に、悠ちゃんは一足先に食べ終わった自分のアイスのカップをくしゃりと潰しながら立ち上がった。

 その様を不思議そうに見上げる私に、彼は手を差し出す。

 まるでお姫様を迎えに来た王子様みたいに。