「二人って仲いいの?」


 廈織くんと悠希のやりとりを見ていた私は首を傾げた。


「入学式の日に仲良くなったんだよねー悠くん」


 笑顔で同意を求める廈織くんに怪訝そうな表情を浮かべながら、悠希は言った。


「その呼び方やめろよ。まあ、そうだな」


「なんか、楽しそう」


「そう? ボクには琥珀ちゃんの方が楽しそうな顏してると思うよ」


「へ?」


「可愛い」


 廈織くんの言葉に私は頬を赤らめる。


「あれー? もしかして廈織くん、琥珀のこと気に入った?」


 七海が面白いものを見るような顔で声をかけてきた。


「ボクは七海ちゃんもタイプだよ?」


「えっ」


 廈織くんの返答に、七海も赤面する。

 彼の態度に私は呆れ半分、感心していた。

 よくもまあ、歯の浮く台詞をこんなにも簡単に言えるものだ。


「ちょっと廈織くん、あんまり七海のこと苛めないでよ?」


「ごめんね。反応が可愛くて、つい」


「ほらまた」


 仲良く会話をする私たちを見ていた悠希は、廈織くんの方を見ながら言った。


「こいつ、シスコンだから。女たらしはただの偽装」


「え、そうなの?」