私は自分で思っている以上にお父さんへの罪悪感に長年苛まれているようだった。
自分の考えに納得のいったところで、私とお母さんは無事、自宅に到着した。
ひとまず家に入り、コンビニで買ったアイスを冷凍庫に仕舞い、買ってきたばかりの雑誌をパラパラと物色するようにめくってみる。
時刻は午後二時。
昼食後の満腹感が眠気に変わる頃、お母さんはリビングのソファの上で雑誌を熟読し始める体勢に入った私に声をかけた。
「そういえば、あんた用事があるって言ってなかったっけ」
「あ」
お墓参りに行く前、朝食のパンを口にくわえながら、私は用事があるからという理由でお母さんとのショッピングの約束を断ったのだった。
ネタばらしするが、特にこれといった用事はなく、ただなんとなく、休日を一人で過ごしたいがためについた小さな嘘だったのだけれど、必要性のない用事というのはどうしても忘れそうになってしまう。
「そうだった! あぶない忘れるところだったよー!」
「本当、抜けてる子よねえ……」
そんな私にお母さんは呆れ顔で笑い、私の嘘を疑う様子は見られない。
それが少し、良心に刺さった。
「気を付けて行ってらっしゃいね。お母さんも出かけるから、帰る頃には暗くなってるかも」
「え、どこに行くの?」
「琥珀がお買いもの付き合ってくれないっていうから、晴香ちゃんと一緒にお茶してくるわ」
「あ、そうなの」
私はとにかくあてもなく町を歩こうと思っていたのだけれど、その間にもお母さんは次の相手を即座に見つけていたようだ。
母親ながら感心する。