「だからね、私も今日は廈織くんに言いたいんだけど」
「なに?」
「えっと……私たち、共犯者として会うのは、もうやめよう」
ほら、こんな風に。
たった一言で状況は一変する。
ボクは彼女から突き付けられた言葉に、胸を締め付けられる感覚に襲われた。
悲しみというより、もっと、孤独感が強い――――これは、寂しさ?
「え……それって、もう会うのは止めようってこと?」
彼女との付き合いは、時間にしてみれば、たった数か月のことだったかもしれない。けれど、その間、ボクらの間には共に悩みを打ち明けた情のようなものが芽生えていた。
絆と言うには拙(つたな)すぎるものなのかもしれないけれど、いざ、関係が崩れるとなると、こんなにも苦しい。寂しい。
動揺を隠せず、震える声で問うボクに、彼女は言った。
「えっと、だから……そうじゃなくて……次からは、普通に友達として会おう? ってことなんだけど……」
「ああ、そういう……」
彼女は、こうしてボクが言葉にすることを躊躇っていたことさえ難なくこなしてみせる。
彼女だけではない。
それは昨夜の花音も同じ。
今まで沢山の女の子を見てきたけれど、ボクは未だに彼女たちの考えていることが理解できないままだ。
彼女たちは、どうしてこんなに自分の思いを真っ直ぐ相手に伝えることができるのだろう。
どうして彼女たちは――――こんなに強いのだろう。
「だめ、かな」