「ごめんね、急に呼び出して」


「ううん、いいの。こうして二人でこの店で会うのも久しぶりだし」


「話す前に、何か飲み物を頼もうか。何がいい?」


「ありがとう。それじゃあ、冷たいアップルティーがいいな」


「了解」


 席に備え付けられた呼び鈴で店員を呼び、それぞれの飲み物を注文し終えると、ボクたちはホッと息をついた。

 客数の少なさもあってか、すぐに注文の品はボクらの前に並び、ひとまず互いの喉を潤す。

 そして、ボクは彼女との軽い雑談から今日の本題へと話題を移した。


「実は……今日ここに君を呼んだのは、どうしても話しておきたいことがあったからなんだ」


「え……何かあったの?」


 ボクの言葉に彼女は不安そうな表情で聞いた。


「うん。突然だけど、ボクと君はもう「共犯者」ではなくなってしまったもかもしれない」


「……どういうこと?」


 ボクは、昨夜の出来事を彼女に話す。

 あまり直接的なことは言わないまでも、経緯が分かるように説明し終えると、ボクの話を静かに聞いていた彼女はアップルティーを一口こくりと飲み、喉を潤してから言った。


「つまり、花音ちゃんの出生の秘密が彼女にバレちゃって、その夜に告白されちゃったってこと?」


「まあ、そういうこと」


「で、キッパリその場で彼女をフッて、廈織くんにはもう、私に内緒にしてほしい秘密がなくなっちゃったってことなのね。だから共犯者契約は続けられない、と」


「……うん」


 とても解り易くボクの言いたいことを要約してくれた彼女は、何かを考える仕草をしながら頷き、言った。