「よかったじゃん。仲直り成功、じゃない?」
私も、こんなにうまくいくとは思っていなかったので、内心驚いている。
「え、でも、希望に新しい男? え?」
「彼氏じゃなくて、好きな人ってことでしょ、多分。希望ちゃんなりに前に進んでるんだよ。だから、次は悠ちゃんの番だよ」
「俺の、番?」
「そ。失恋の傷は新しい恋っていうでしょ? 手始めにどう? 可愛い幼なじみと恋愛してみる?」
あわよくば。
そんな期待を込めた軽口は残念ながら悠ちゃんに笑い飛ばされてしまった。
「ははは、慰めようとしてくれてサンキューな。そうだな……新しい恋愛、か」
返事はもらえず、話ごと流されてしまったが、否定されたわけでもないのも事実。
ここからが、本当の勝負なのである。
私が悠ちゃんを振り向かせ、彼の幼なじみではなく、彼女になるために、私が頑張らなくてはいけないのだ。
今日が記念すべき旅立ちの日になる。私にとっても、悠ちゃんにとっても。
「ねえ悠ちゃん」
「ん?」
「希望ちゃんと仲直りできてよかったね、本当に」
だから、頑張らなくちゃ。
「うん。よかった、本当によかった……琥珀のおかげだよ」
幸せな明日を迎えるために。