『……遅いよ、バカ』
短く溜息が聞こえ、希望ちゃんが言った。
『あんたって本当にバカよね、こんないい女逃しちゃって。次はもっといい彼女探しなさいよ。案外、あんたの近くにいる子かもしれないわよ?』
「え?」
私が近くにいることを知ってか知らずか、希望ちゃんは笑いながら言った。
してやられた。
手の平が冷たい汗で湿る。
『ま、それは自分で探さないと意味ないからね。私もすぐにいい男見つけちゃったし。悠希も頑張って。相談に乗る友達くらいになら、なってあげてもいいよ』
「え? 男って、ちょ、どういう――――」
『内緒。次会う時に話すわ。今度は友達としてね。じゃあね』
そう締めくくられ、一方的に切られた通話。
悠ちゃんは放心状態で私のスマホを握り締めていた。
「はい、私のスマホ返して」
私はそれを強引に奪い返す。
そして、混乱する悠ちゃんに言った。