でも、だからといって、手遅れではない。
悠ちゃんには、まだやれることが残っている。
何もせず卒業まで今の気まずさを引きずるなんて、青春の無駄遣いもいいところ。
愚の骨頂だ。
「だったら、やり直せばいいんだよ」
「え?」
「関係を元通りにすることはできないかもしれないけれど、悠ちゃんが後悔していることを希望ちゃんに素直に言ってみればいいじゃん。謝ればいいじゃん。少なくとも、誠意は伝わると思うけど?」
気持ちを理解してもらえたのだと、希望ちゃんが感じてくれれば、それでいい。
要は前に進む努力をすることが、行動を起こすことが大切なのだ。
何もしなければ、何も始まらない。
「……琥珀にしてはいいことを言う」
「しっつれいな!」
勢いのまま悠ちゃんに蹴りを入れながら、私は自分のスマホを手に取り、希望ちゃんに電話をかけた。
「ほら、分かったらさっさと仲直りしなさい!」
「い、今から?」
悠ちゃんは私の言葉に顔を引きつらせる。
「当然」
コールを一つ挟み、希望ちゃんが「もしもし」と電話に出た。