「悠希と初めて会ったのはね、中学に上がってすぐの頃。琥珀ちゃんと悠希、よく皆にからかわれてたでしょ? それを遠くから見てた」


 始業の鐘の音を聞きながら、私は彼女の話に耳を傾けた。


「私ね、一目惚れして、すぐに告白したの」


「そうなんだ」


「そうよ。誰にも取られたくなかったから。そしたらあっさりオッケーされちゃって。本当ビックリよ」


 私も彼女のように行動を起こしていれば、今頃何か変わったのだろうか。


「本当にごめんなさい。あの二人のこと、悪く思わないであげて。悪い子じゃないの」


 何も返す言葉が見つからず、私は口を閉ざした。


「私が何を言ってもダメよね……琥珀ちゃん、もう一度言うね。本当にごめんなさい」


「……もういいよ」


 何度も頭を下げる希望ちゃんの姿に、私は心苦しくなり言った。


「琥珀ちゃんは優しいね」


 許してもらえたことに安心したのか、希望ちゃんは笑顔で「ありがとう」と礼を言った。