「すご……シャンデリアのある家なんて初めて」
リビングは二階までの吹き抜けになっていて、天井にはクリスタルのような輝きを放つシャンデリアが吊るされていた。
「はは……この家は全部母親の趣味なんだ。はい、アイスティーで良かった?」
私は彼からグラスを受け取ると、二口、喉を鳴らして冷えた液体を外の暑さで火照った体に流し込む。
「ありがとう……そういえば、お母さんは?」
「仕事」
そう言いながら電源の入れられたテレビ。
大画面の中には生放送のゲストとして出演する女優ミヒロの姿があった。
「芸能人は大変なんだね……忙しそうだし、お母さんともなかなか会えないんじゃない?」
「まあ、家事はボクがするし、お手伝いさんがいるからどうとでもなるんだけど」
「あ、やっぱりいるんだ、お手伝いさん」
「なに?」
「いや、こっちの話」
思わず漏れた心の声をごまかしながら、私は残りのアイスティーを両手に言われるがままソファーに腰を下ろした。