「あー!!」



 

 私の意を決した発言に重なったその大きな声はすぐ隣から聞こえた。

 体の反射で肩をビクリと跳ねさせながら横を向くと、絶望した表情を浮かべる悠希がいた。

 見ると、私が育てた火球より二倍近く膨らんだ熱の塊が自身の重みに堪えられずに落下したところだった。



 くだらなさにため息をつく。



 

「琥珀! お前、今絶対くだらねーとか思っただろ!」



 

「実際くだらないでしょうよ。線香花火なんて、最後にこうして火の球が落ちて終わりなんだから」



 

「そうだけど、夢がないんだ琥珀には! それをいかに長く大きく育てられるかが楽しいんだろうが! あー俺のファイヤー号……」



 

「名前付けてたの? しかもダサ」



 

「いいじゃん! 俺の勝手だろ!」



 

「ガキ」



 

 気付かぬうちに話があらぬ方向に脱線してしまっていた。

 私は軌道修正するために「コホン」と咳払いをして声を整えると、再度質問を投げる。



 

「希望ちゃんと廈織くんってさ、両思いなのかな」



 

「あ?」



 

 今度はしっかり悠希の耳にも私の声は届いていたようだ。



 彼は私の言葉を理解が難しいというような顔で聞いていた。