「足、気をつけろよ。落としたら酷い水ぶくれになるぞ……琥珀? 聞いてんのかよ」
「え、ああ……ごめん。気をつける」
「何か、あったのか?」
「え?」
生返事のまま、落ちた火球の行方を未だ追いかける私に向かって悠希が聞いた。
火球の周囲では、細かい砂が熱によってパチパチと弾け飛んでいる。
「いや、なんか上の空って感じだったからさ。あいつらに何か言われたのか?」
「あいつらって誰」
「希望と廈織。さっき何か話してただろ」
「あー……」
悠希は私が希望ちゃんたちを花火に誘った時のことを言っているのだろう。
別に言い訳を必要とするような後ろめたさがあるわけでもないのだが、どうにも彼にこの話題をふることに少し抵抗があった。
朝のように、また悠希の機嫌を損ねてしまっては敵わない。
だからと言って、このまま口を閉ざしたままでいられるわけもなく、私は正々堂々思ったままを言葉にすることにした。
「あの二人って、両思いなのかな」