そんな秘めた想いを押し殺すように、
だけれど少し願いながら、華やいだ街を抜けて、
家に抜ける道の階段をあがっていく。
階段の踊り場、少し粉雪が舞う。
ヒラヒラと……
誰かの倖せを祝福するかのように。
私はその結晶を見ようと手のひらに置いた。
でも、すぐ溶けてしまう。
それは、彼との終わりを告げるようにも思えた。
少し願っていた、
心に秘めた押し殺した想いさえ、
儚いうたかたの夢のように溶けていく……。
頬に一筋の想い出への道が出来た。
その道を、次々と溢れるように流れていく雫。
頭を振っても
粉雪舞う空を目を瞑ってみるかのように上を向いても、
その道を、次々と溢れるように流れていく。
私は、何かを振り切るように足早に階段を駆け上がる。