いつもなら、こんなに大人しく音楽を聴くことなんてなさそうな海琉でさえ、微笑んでいるような表情で、この曲を奏でる先生を見ている。
本当に、心の隅々まで染みるような不思議な曲。
そんな中で、防音扉が閉まる、キィィッという金属が擦れるような音が背後から聞こえた。
その瞬間、先生の指がピタリと止まり、ゆっくりとこちらの方を見たのだ。
長い前髪が顔の右側を隠していて、左目で私達を見る。
「やべっ!俺達が授業をサボってここにいることがバレちまった」
「い、行こうって言ったのはお前だろ!」
曲が途切れて、我に返った私達。
音楽室に入るまで、幽霊がピアノを弾いているかもしれないと思っていただけに、まさか男の先生が弾いているなんて思わなかったから、見付かってしまって混乱状態だ。
だけど……。
「えっと……キミ達は確か浜村先生のクラスの……。そこに座って。この曲が気に入ったなら聴いて行くといい」
そう言って、怒るわけでもなく、机を指さして私達に笑いかけたのだ。
授業をサボっていたら怒られるのが当たり前だと思っていたのに、この先生は怒らない。
いや、それよりも気になるのは、どうしてこの先生がこの曲を弾いているのかということ。
本当に、心の隅々まで染みるような不思議な曲。
そんな中で、防音扉が閉まる、キィィッという金属が擦れるような音が背後から聞こえた。
その瞬間、先生の指がピタリと止まり、ゆっくりとこちらの方を見たのだ。
長い前髪が顔の右側を隠していて、左目で私達を見る。
「やべっ!俺達が授業をサボってここにいることがバレちまった」
「い、行こうって言ったのはお前だろ!」
曲が途切れて、我に返った私達。
音楽室に入るまで、幽霊がピアノを弾いているかもしれないと思っていただけに、まさか男の先生が弾いているなんて思わなかったから、見付かってしまって混乱状態だ。
だけど……。
「えっと……キミ達は確か浜村先生のクラスの……。そこに座って。この曲が気に入ったなら聴いて行くといい」
そう言って、怒るわけでもなく、机を指さして私達に笑いかけたのだ。
授業をサボっていたら怒られるのが当たり前だと思っていたのに、この先生は怒らない。
いや、それよりも気になるのは、どうしてこの先生がこの曲を弾いているのかということ。