光星が机に当たった衝撃で、パサッという音と共に机の中から落ちた物。


「お、おい……な、なんでこれがここにあるんだよ」


光星の表情が、怒りから恐怖に移り変わるのがハッキリとわかった。


海琉と摩耶は一つ前の列にいるからわからないかもしれない。


でも、私はそれが何かが見えてしまったのだ。


「そんな……あるはずがないじゃない!これは、月菜と一緒に……」


床に落ちた物……それは、あのノートだった。


月菜のお棺に入れて、燃やされたはずなのに。


「だ、誰のイタズラだこれは!!誰がこれを棺から取り出した!名乗り出ろ!!」


慌ててそのノートを取り出して、光星は雑談をするクラスメイトに怒鳴るようにして尋ねた。


だけど、誰も名乗り出ない。


むしろ、(いぶか)しげな表情で、「何言ってるんだこいつ」といった視線が光星に向けられたのだ。


「え、な、なんであのノートが」


「ちくしょう……呪われてるとでも言うのかよ」


摩耶と海琉の表情も変わった。


「誰だよ……いや、誰でもいいんだ。頼むからイタズラだって言ってくれよ」


ノートを下げて肩を落とし、消えそうな声で光星は小さく呟いた。