「何よ……若葉だって、あの出口から私が出られないとわかってて、私に白い物を押し付けたんじゃないの!?」


海琉に向けられていた苛立ちが、私に向いた。


いつもは温厚な摩耶が、こんなことを口にするなんて。


「ち、違うよ!何言ってるのよ!私も知るわけないじゃない!今、海琉に聞いて初めて知ったのに!」


「どうだか。じゃあ、どうして出口が目の前にあるのに私に譲ったわけ?誰だってあんな悪夢から抜け出したいと思うはずなのに」


「そんなの……摩耶と喧嘩をしたくなかったからに決まってるじゃない!私達まで海琉と光星みたいになったらどうするのよ!」


本当にそう思って譲ったのに、結局喧嘩になるなら、私はどうすれば良かったわけ?


「お前ら、いい加減にしろ!ほら、覚えてねぇのかよ?ノートの1ページ目にあっただろ。出口はそれぞれ違う場所にあるみたいな文章がよ。もしかするとあれは、俺の出口だったんじゃねぇのか?」


そう言われてみれば、そんなことも書いてあったような気がする。


だから、摩耶が触れても出られなかったし、きっと私が触れたところで出られなかっただろう。


初日は、偶然光星が、自分の出口を見付けたということなのだろう。