チラリと私を見て、フウッと溜め息をついたようにそう呟いた。


睨んでる?


ああ、少しでも気を抜くと眠ってしまいそうだから、目に力を入れているだけなんだけど。


「寝たはずなのに、全然眠気が取れなくて……」


「お前もかよ。俺もまるで徹夜明けみたいに眠いんだよな。まあ、俺はまだ大丈夫だけどよ」


確かに、足をずっと動かしてはいるけど、それ以外はなんだか落ち着いているように見える。


海琉も私と同じ状況か。


それでも、やっぱり眠気に対する強さとかはあるんだろうな。


普段は授業中寝てばかりなのに。


「で、若葉はどうだったんだよ。昨日は出口から出られたか?」


「んーん。ダメだった。ほら、これ見てよ」


制服の左腕を捲って、黒い人の顔を見せる。


「マジかよ。これ、一体何個付けられるんだ?」


恐らく、噛み付かれた場所にいくつでも付くんだろうけど……それを聞くってことは、もしかして。


「海琉は出口から出られたの?」


「ああ、校舎の中を動き回って、玄関にそれらしい物があったから触ったらよ、目が覚めたぜ。ビビったぜ。摩耶がとんでもねえ顔で死んでたからな」


あの後、海琉は玄関に行ったんだ。


だとすると……摩耶のあの悲鳴は。