学校に行く準備を終えて、家を出た私は、太陽の光を浴びて目を細める。


そのまま瞼を閉じて、立ったまま眠ってしまいそうになる。


これじゃダメだと、必死に目を開けて歩くけれど、前を見るのがやっとで周囲の確認すら疎かになっている。


信号待ちをしていても、青になったとわかっても立ち止まったままだったり。


眠らないように、何とか目を開けるのが精一杯の状態で、私は学校に到着した。


今日は金曜日……怖いのは、土日の学校がない日だ。


どうやって眠気を覚ませば良いんだろうと考えると、それだけで気が滅入る。


教室に入り、私の席の前で明らかにイラついている海琉に目をやる。


「おはよう……あれからどうしたの？海琉の姿が見えなかったけど……」


「お前らこそどうしたんだよ。振り返ったらお前らいねぇし」


私を見ようともせずに、ただ一点をジッと見詰めて、組んだ足を小刻みに震わせている。


「海琉の足が速すぎるんだよ。廊下の角を曲がった時にはもういなかったし」


まあ、海琉はクラスでも一番足が速いから、普通に走れば私達より先に行くことは可能だと思うけどさ。


「そりゃあ悪かったな。それより若葉……なんで俺を睨んでるんだよ」