まるで首を締められているかのように、息苦しくて呼吸ができない。


私の目の前に立っている人は、一体誰なの!?


怖くてその姿を直視することができない。


それでもなんとか、確認しようと目をゆっくりと動かしていく。


黒いスカートだ……と、そこまで認識した時だった。





「席につけ!授業を始めるぞ!」




その声と共に、教壇の机に出席簿を叩きつける音。


それが耳に届いた瞬間、私達はハッと我に返るように頭を上げた。


さっきまで感じた悪寒や不気味さはない。


と、同時に、私の目の前にいたはずの人物も……いなくなっていたのだ。


先生の声に、慌ててノートを閉じた海琉。


「授業か。若葉、このノートはお前が持ってろよ」


「えっ!? わ、私が!?」


海琉にそう言われて、思わず顔をしかめてしまった。


「そ、そうだな。頼んだ」


「ごめん、若葉。お願いね」


誰もノートを持っていたくないというのがわかる。


私だって持っていたくないし、なんなら月菜の机に戻したいけれど、授業が始まる。


休み時間に戻せばいいかと、私はそのノートを自分の机の中に入れた。