玄関のドア付近。


廊下から見ると下足箱の反対側に移動した私達は……その目の前にある物に、心臓がさらにドクンと高鳴ったのを感じた。


「あっ!」


と、摩耶が声を漏らして。


話には聞いていたけど、玄関の真ん中辺りに白く、ぼんやりと光る物があって。


それが、「目が覚める場所」……出口だということが理解出来た。


「摩耶、これってもしかして……」


「で、出口だよ。どうする?どっちが先に出る?」


この状況で、遠慮する人なんているだろうか。


摩耶も私をチラチラと見て。


隙あらば出口に触れようとしているのがわかる。


私だって出たいよ。


死にそうな痛みを何度も味わうなんて耐えられないし。


だけど……目が覚めて摩耶と仲が悪くなったら、次にこの夢を見た時に、協力なんて出来なくなるんじゃないかって。


そんな不安があって、私は考えた末に、「うん」と小さく呟いて頷いた。


「摩耶が使って良いよ。でも、私が他の出口を探すまで、白い物を引き付けてよね。危なくなったら出れば良いからさ」


「ほ、本当に良いの?他の出口がどこにあるのかわからないのに」


「だから……引き付けてもらうんじゃない。それでいい?」