「ま、待て待て待てっ!待てって!ちょ……あ、ああああああああぁぁぁっ!!」
後ろの方から、光星の声と悲鳴が聞こえた。
白い物を見続けなければならない……でも、あの顔をずっと見続けるだけでも、かなり恐ろしくて、不安を感じてしまうから。
気持ち悪くなって、ほんの少しでも良いから目を逸らしたくなる。
それに抗えなくなると、きっと目を逸らしてしまうだろう。
「どうしよう。光星が殺されたら、次は私達の方に来るかもしれないよ」
「う、うん……摩耶、こっち!」
海琉を探して移動して、T字に差し掛かった私達。
どちらに進んでも追い付かれそうな気がしてしまう。
そんな私が気付いた、上と下に移動する為の階段。
階下に下りる階段を指さして、私は摩耶の手を引っ張って階段を下りた。
急いで駆け下り、目の前に伸びる反対側の校舎に向かう廊下。
私達が最初に白い物を見た、玄関へとやって来たのだ。
どこに隠れても、白い物に見付かってしまいそう。
だから、どこに隠れたって同じだと思えた。
「下足箱の陰に隠れよう。追い掛けて来ないならそれで良いんだけど」
隠れる場所としては心許ない場所だけど、早く隠れないと見付かってしまえば追い付かれてしまうから。