「わ、私は……なんか見ちゃいけないような気がする」


思わずそう呟いたけれど、私はもう少し言い方を変えるべきだったと後悔することになる。


摩耶と光星は、私に同調したように首を縦に振ったけど……海琉は違った。


「お、お前らビビってんのかよ。ただのノートだろ」


そう言って、海琉が次のページをめくってしまったのだ。


途端に感じる悪寒と不気味な気配。


どこかから見られているような視線すら感じる。


だけど私は、それすらも超える「狂気」みたいなものをノートから感じ、思わず息を飲んだ。


直線だけで書かれた、文字のような物。


それが、ページを埋め尽くすほどビッシリと書かれていたのだから。


あまりの不気味さに、誰も声を出せないし動かない。


ノートに釘付けになった目だけが動き、脳が必死にその文字らしき物を理解しようとしていた。


ミ……シナ……ン……ネ?


直線だけで書かれた文字は、そう読めるけど……どういう意味?


そこまで考えた時、私は気付いてしまった。


私達は四人でノートを見ていたはずだ。


なのに、私の目の前に……もうひとりいる。


誰だかわからない。