ゆっくりと、なるべく音を立てないように階段を下りて、左右を見渡す。


「ここはT字になってるね。渡り廊下かな?ここは」


左右ではなく、目の前に真っ直ぐ伸びる廊下を指さして見せると、何かに気付いたように摩耶が小さく声を上げた。


「あ、ここ……昨日、光星が出口を見付けた場所かもしれない。渡り廊下の途中に教室があったら、きっとそうだよ!」


それを聞いて、恐怖に支配されていた心に、まるで光が射し込んだような感覚があった。


たとえ抜け出せるのが一人だけでも、光星が言った、そこで誰かが白い物を引き付けることが出来れば……私達は他の出口を探すことが出来るのだから。


「よし、じゃあ行ってみようぜ。あったらラッキー、ダメで元々だ」


こういう時に、海琉がいると心強い。


ただ強かったいるだけかもしれないけど、それが弱気になっている私達を引っ張ってくれるから。


足元に注意しながら、摩耶が言う教室が本当にあった。


教室と言うよりは……ショーケースの残骸のような物があるし、ドアが一つしかない。


その大きさから、図書室ではないかなと思える。


まあ、この部屋がなんでも私には関係がないんだけど。