もうダメだ……見付かってしまった。
そう、諦めそうになった時だった。
下を向く白い物が急に顔を上げて、廊下の奥の方に顔を向けたのだ。
何が起こったのかはわからない。
白い物がしばらくそちらを見詰めた後、ゆっくりとその場所に向かって歩き始めた。
シャリ……シャリ……と音を立てて。
もしかして、助かったの?
もうダメだと諦めそうになって、私はまた死ぬんだと、頭がおかしくなりそうだったのに。
この場から白い物がいなくなっても、しばらく私達は動けないでいた。
微かな物音でも立てれば、気付かれて引き返して来るんじゃないかという不安が消えなかったから。
そんな私達に、再びピアノの音が聞こえ始めた。
と、同時に、ぷはっと息を吐いて。
「た、助かった……もう、ダメかと思った……」
「ああ、ギリギリだったな。あの音がなけりゃ、誰かが殺られててもおかしくなかったぜ」
安心したと同時に、身体中から大量に汗が噴き出していたのがわかった。
隠れるって言ったって、こんな所に横になってるだけでやり過ごせたのは奇跡に近い。
いくら夢だからって、死の苦痛が鮮明に身体に残っていて、あの苦しみを二度は味わいたくないから。
「海琉、あの音って何?そんな音聞こえた?」
摩耶の言う通り、私も聞こえなかったんだけど。
そう、諦めそうになった時だった。
下を向く白い物が急に顔を上げて、廊下の奥の方に顔を向けたのだ。
何が起こったのかはわからない。
白い物がしばらくそちらを見詰めた後、ゆっくりとその場所に向かって歩き始めた。
シャリ……シャリ……と音を立てて。
もしかして、助かったの?
もうダメだと諦めそうになって、私はまた死ぬんだと、頭がおかしくなりそうだったのに。
この場から白い物がいなくなっても、しばらく私達は動けないでいた。
微かな物音でも立てれば、気付かれて引き返して来るんじゃないかという不安が消えなかったから。
そんな私達に、再びピアノの音が聞こえ始めた。
と、同時に、ぷはっと息を吐いて。
「た、助かった……もう、ダメかと思った……」
「ああ、ギリギリだったな。あの音がなけりゃ、誰かが殺られててもおかしくなかったぜ」
安心したと同時に、身体中から大量に汗が噴き出していたのがわかった。
隠れるって言ったって、こんな所に横になってるだけでやり過ごせたのは奇跡に近い。
いくら夢だからって、死の苦痛が鮮明に身体に残っていて、あの苦しみを二度は味わいたくないから。
「海琉、あの音って何?そんな音聞こえた?」
摩耶の言う通り、私も聞こえなかったんだけど。