慌ててその声の方を見ると……教室の窓際に、海琉が立っていたのだ。


驚いた……けど、私達だけじゃなかったという思いが安心感へと変わる。


「海琉!私と若葉だけだったから、まだ寝てないのかと思っちゃった」


「バカ!お前ら声がでかいんだよ!静かにしろ!」


そう言われて、思わず口に手を当てた。


「それで、海琉はここで何をしてたの?出口はなさそうだけど」


「ここがどこかわかんねぇからな。何かわかるかと思って、外を見てたんだけどよ。真っ暗で何も見えねぇな」


そう。外を確認しようにも、深い闇が窓の外に広がっていて、自分が今何階にいるのかさえわからないのだ。


それは、昨日の夢で感じたことだ。


海琉がここにいたってことは、私達と寝る時間はあまり変わらなかったってことかな。


「私達、今から光星が出口を見付けた部屋に行こうかと思ってるんだけど」


と、そこまで言った時だった。


海琉が何かに気付いたように、廊下の方を見て人差し指を口に当て、「シッ」と小さく呟いた。


「え、ど、どうしたの?」


「わからないのかよ。ピアノの音が……消えた」


そう言われれば……さっきまで聞こえていたピアノの音が聞こえない。