だけど、いないものは仕方がない。


摩耶と一緒に、出口を探す為に教室から廊下に出る。


「白い物……いないよね?」


「う、うん。この廊下にはいないみたいだけど」


あの白い物は、音もなく超高速で迫って来るから、見るのが一瞬でも遅れてしまうと捕まってしまう。


見たくはないけど、見るなら早い方が良い。


暗く、冷たい空気に包まれた廃校舎。


その中で響くピアノの音が、より不気味さを引き立てている。


「ねえ、もしかしたら、昨日光星が出口を見付けた部屋に、出口があるかもしれないから行ってみない?」


「それはいいんだけど……その部屋がどこにあるかわかる?」


昨日とは、夢が始まった場所が違う。


見慣れない校舎だし、どこにどんな部屋があるかなんて、私にはわからなかったから。


どうやらそれは、摩耶も同じだったようで。


辺りをキョロキョロと見回して、不安そうな表情を浮かべた。


「ど、どこなんだろ……」


「だよね。この校舎の構造がわからないし、それを知った方が良いのかな。まあ、その前に出口を見付けられるのが良いんだけど」


そんな事を話しながら、廊下を半分ほど歩いた時だった。






「おい!」





突然掛けられたその声に、私はビクッと身体を震わせた。