フワッと、一瞬落ちるような感覚に包まれて……何かおかしいと感じた私が目を開けると、そこはもう例の廃校舎だった。


昨日とは、場所が違うみたいだけど……。


それに、近くにいるのは摩耶だけ?


「摩耶、ねえ!摩耶!」


「……え?ま、またあの夢なの?」


それほど期待はしていなかった事が、その話し方からもわかる。


摩耶は昨日と同じくパジャマ姿で。


私は……寝る前に着ていた服だった。


「若葉、いいな。私も靴が欲しいよ。夢の中では痛くないのに、起きたら怪我してるんだよね……って、もしかして靴を履いて寝たの?」


「う、うん。もしかしたらって思ってさ」


なんて、話し込んでいる暇はないんだけどね。


また聞こえるピアノの音。


ここが夢の中だと判断する材料の一つ。


「出口を探そう。白い物に見付からないうちに」


「そうだね。早く出口を見付けて、こんな夢から抜け出したいよ。でも……海琉はどうしたんだろ?ここにいたのは私達だけ?」


「そう言えば……そうだね。もしかして……まだ寝てないんじゃ」


この夢を見ない為に、寝ないという選択肢もある。


でも、それだと白い夢を見ちゃった私達は、人数が少ない中で出口を探さなきゃならないってことだ。