「そ、それは……そんなこと……」


私の剣幕に、光星が何も反論出来なくなってしまった。


確かに、あの苦痛を味わっていない光星は、簡単に諦めるなとか言えるだろう。


白い夢から抜け出す為の対策を考えてくれたけど、どこか他人事のように聞こえたから。


「私も帰る」


誰のせい……というわけではないことはわかっているつもりだったのに。


喧嘩をしても白い夢から抜け出せるわけじゃない。


協力しなければならない事くらいわかってるけど、白い物の恐怖がストレスになって、それが人に向いてしまう。


オロオロしている摩耶には悪いけど、これ以上光星に腹を立てたくないから。


海琉と同じようにお金を置いて、ファミレスから出た。


まだお昼過ぎ。


学校に戻れと先生には言われなかったし、このまま家に帰ってもいいんだけど。


寝てしまったら、白い夢を見そうで怖かった。


出来れば、誰かと一緒にいて時間を潰したかったかな。


そう思いながら、なるべく人の多い所に行こうと、百貨店に向かった。


何を買おうというわけでもなく、ただ、時間を潰す為に。


そうして私はこの日は、夕方になるまで目的もなく街を歩いた。