光星と海琉……どちらの言い分もわからなくはないから、どう声を掛けていいかがわからない。


あの夢は、自分だけの夢だと思っていたから、どんな行動をしていてもそれは仕方がない。


だから私と海琉を犠牲にして逃げ出した光星を責められない……ということで話はついたはず。


でも、その結果、恐ろしい苦痛を味わって、もう二度とあんなのはごめんだと思っていた私達に、「諦めるな」と言った光星の発言に、ムカついたという海琉の気持ちがわからないわけじゃない。


明らかにやりすぎではあるけれど。


「でもね、光星。白い物に噛まれると本当に苦しいんだよ。死の苦痛って言うのかな?途中から、早く殺してって思うくらいに」


私がそう言うと、光星は首を横に振って。


「だからって!諦めるのは違うだろ!何度失敗しても、死ぬよりマシだ!それくらいわかるだろ!」


「言いたいことはわかるよ!でもね、光星はあの苦しみを味わってないじゃない!あの苦しみを何度味わってでも諦めるな!?死ぬよりマシだ!?夢なのに本当に死ぬみたいな苦しみ味わうんだよ?……何回もあの苦しみを味わうと思ったら、本当に死んでしまった方が楽に思えたんじゃないの?月菜は。だって、一回苦しむだけでいいんだから」