おばさんも少し怪しんでいたものの、海琉があまりにも真剣な表情で見ているものだから。


「そう。わかったわ。じゃあ月菜に渡すわね。家に置いておけば見てしまうかもしれないし、お棺に入れて、月菜に持って行ってもらいましょ。あの子だって、そんな時に書いた物なんて見られたくないでしょうから」


その言葉を聞いて、海琉がノートから手を離した。


おばさんはノートを胸に抱いて、「ありがとう」と言うと、祭壇にある月菜の棺の方に歩いて行った。


「これで、誰もノートを見ることはなくなったな。ひと仕事終わった気分だ」


「うん。後は……私達だけだね」


光星がホッとした表情を見せたけど、私達はこれからどうすればいいんだろう。


昨日は白い夢を見たけど、今日は見るのかな。


光星は出口を見付けたみたいだから、見るとしたら私と海琉と摩耶の三人なのかな。


もしもそうだとすると、出口を見付けるまでずっと続くのかな。


それを聞けるのは月菜しかいなかったけど、その月菜は祭壇の棺の中にいる。


私達は、何も知らないのに。


私達四人は、覚めることのない長い夢の中にいるような錯覚に包まれているようだった。