そう言われると……私にはわからない。


あの日、月菜がどこに行ったのか、そしてなぜそこに行かなければならなかったのか。


「誰も見てないなら、考えてもわからないよな。てか、早瀬の机の中に何か入ってないのかよ。若葉、お前見てみろよ」


「えっ! な、なんで私!?」


とは言いつつも、私も気になっていた事だ。


何が月菜を変えて、なぜ死ななければならなかったのか、その理由を知りたかったから。


席を立ち、ふたつ隣の月菜の机に移動し、その中に何かないかなと、ゆっくりと覗き込んだ。


綺麗な机の中。


何も入っていないと思っていたけれど、私の予想に反してノートが一冊入っていたのだ。


それを見た瞬間、ゾクッと背筋に冷たいものが走るのがわかった。


きっとそれは、月菜がおかしくなってから何かを書きなぐっていたノートに違いなくて。


それを開くべきかどうなのか。


何か、嫌な予感がするというか、触れることすら危険な雰囲気があったから。


「若葉、何かあったのか?」


「う、うん……ノートが一冊あったんだけど」


私がそう言うと、これが何かというのに気付いたのだろう。


三人とも驚いたような表情を浮かべて、それ以上は何も言わなかった。