「けっ!今後二度と同じ夢を見ないことを期待するぜ。まあ、俺も俺だけの夢だと思ってたからな。今の一発でチャラにしてやる」


考えてみれば本当におかしな話だ。


自分の夢に、他の人が出てくるのはよくあることだけど、その人達は私の脳が生み出した人達で。


つまり、ゲームで言うと「村人」と変わらないと思っていたのに。


昨日見た夢は、皆自分の意思があって、一つの夢を全員が見ているなんて。


「くっ……相変わらず勝手なやつだ。殴られる俺の身にもなってみろ!」


そんな状況で、初めて見る夢の中。


誰が光星の行動を責めることが出来るだろう。


自分が見ている夢だとわかっている中で、何をしたとしてもそれは自分の自由のはずで。


それが原因で殴られることになるなんて、誰にも予想出来ないはずだよ。


「……若葉も、俺を恨んでるのか?」


頬を擦りながら、不安そうな目を私に向ける光星。


「恨みなんてしないよ。だって、私も夢だって思ってたし。何より、皆が同じ夢を見てるなんて思わなかったからさ。光星は悪くないよ」


そう言って、ポンッと肩を叩くと、光星は安堵したような吐息を漏らした。