ゴツッと鈍い音が聞こえて、光星が床に倒れ込む。


「ぐはっ!か、海琉テメェッ!一体何しやがるんだ!!」


突然の出来事に、クラスメイト達がざわめく。


「ムカつくじゃねぇかよ。俺は夢だと思ってたから、お前が逃げてもまあ仕方ねえって思ってたのによ。俺もお前と同じ夢を見たんだよ!お前に裏切られて、俺と若葉はやられたんだよ!!」


「は、はぁ!?あれは俺が見た夢だ。だから俺は……いや、同じ夢を、何人も同時に見るはずがないだろ!!」


「そう思うなら細かく説明してやろうか?廃校舎の二階の端から始まって、ガラスや天井が落ちてる廊下を歩いて玄関に向かったんだ。お前が行こうって言ったからな!どうだ、違うなら言ってみろ!」


海琉の言葉に、光星は驚いたまま。


反論が出来ずにただ呆然と私達を見ていた。


「海琉!やめようよ!私も同じ夢を見たけど、誰だって夢だと思うよ!私達を裏切ったわけじゃなくて、逃げるのに必死だったんだよ……光星も」


本当に不思議……と言うよりは不気味ささえ感じる。


私が見た夢は、私だけが見ている夢じゃなくて、海琉も光星も。


だとすると摩耶も同じ夢を見たに違いない。


一つの夢を皆で共有している。


そんな事は初めてだったし、二人が言わなければきっと、私だけが見た夢だったと思っていただろうから。