どうしてノートがここに戻っていたんだろう。


少し不気味に感じながらもノートを取り出すと、表紙には「早瀬月菜」と書かれている。


「名前……じゃあ、バッグ入れたと思ってたけど、本当は入ってなくて、床に落としてたのかな」


その後、ノートを拾ったクラスの誰かが机の中に戻したって考えると辻褄が合うな。


「ほら見たことか！若葉が忘れてたんじゃねぇかよ」


「うぅ……ごめん」


今度は忘れないように、海琉が見ている前でしっかりとバッグの中にノートを入れた。


そんな事をしていると、光星が教室の中に入って来て。


「よう、どうだった？ノートはあったか？」


いつもと変わらない様子で、そう声をかけて来たのだ。


「ああ、うん。月菜の机に入ってた。今度は間違いなくバッグに入れたから、大丈夫だよ」


と、私のバッグをポンッと叩いて見せると、光星は驚いたように私と海琉を見た。


「お、お前らどうしたんだ……そのアザ。なんだか……」


「人の顔みたいだってか？言われなくたって分かってるっての！うるせぇな！」


私と海琉とは違って、光星にはそれがないように見える。


となると……ノートを見たからってわけではないのかな。