学校に到着して教室に入ると、いつもより半分以下の人しかいない。


多くの人が直接お葬式に行く為に学校には来てないんだろうな。


私の席の方を見ると、海琉が難しい顔で何か考え事をしているみたいで。


「おはよ、海琉。どうしたの?そんな顔して」


自分の席に近付き、机の中を見ながらそう尋ねた。


「おう。いやな……ひでぇ夢を見てよ。まあ、夢だからいいんだけど」


「海琉っていつもそうだよね。良い夢を見たら一日機嫌がいいのに、嫌な夢を見ると朝から機嫌が悪いんだから。まあ、あんなことがあったからね。私も怖い夢を見たし」


そう言いながらノートを探すけれど……おかしいな。


机に入っているはずのノートが見当たらない。


ここにないとなると、やっぱりバッグに入れたと思うのに。


「さすがにアレは……ビビったからな。死んだはずの早瀬が動くとかよ」


「そうだよね……って、ノートがないんだけど。やっぱり私、バッグに入れたんだよ」


頭を上げて、海琉を見ると……右目の辺りに黒いシミがある。


それは、私の首にある物と似ていて、人の顔に見えたのだ。


「ね、ねぇ海琉。その黒いの……何?」