今日は月菜のお葬式があるけれど、その前に一度ノートを取りに学校に行かなければならない。


学校から月菜の家は近いから、取りに行っても間に合うはずだ。


まあ、それだけじゃないんだけどね。


あんな夢を見たし、怖い思いをしたから、なるべく一人ではいたくなかったから。


「いたた……本当に、足の裏なんていつ切ったんだろ」


それほど大きな傷ではないものの、歩くとチクチク痛む。


寝ている間に、どうして足の裏なんかを。


もしかして、夢の中で裸足でガラスの上を歩いたから?


……まさかね。


夢の中で怪我をしたからって、現実でも怪我をしてたら、私は何回死んでいるかわからないよ。


包丁で刺されたり、銃で撃たれたり、車を運転していて交通事故に遭ったりする夢は今までに何度も見たから。


それに、あんな夢を見たのもきっと、怖い怖いと思い続けていたから、本当にそんな夢を見たんだろうな。


私って、印象に残った事が夢に現れやすいから。


……月菜のお葬式があるのに。


悲しいはずなのに。


なんだか怖くて、悲しむどころじゃなくなってきた。


また、月菜が歩き出したらどうしよう……なんて考えていた。