「私は、海琉がいたから今、生きてるんだよ。それとも、あの時は海琉が一人になりたくなかったから私を騙したの?その気にさせておいて酷いなあ」


「バ、バカ!そんなんじゃねぇよ!じゃあ、お前は本当にそれでいいんだな?後悔しても知らねぇぞ?」


あの悪夢を……呪いを一緒に駆け抜けたんだ。


海琉がいなかったら私は生きていなかっただろうし、良くて摩耶や光星達と同じように大怪我をしていただろう。


いや、私は首に印があったから、やっぱり死んでいたかもしれないな。


だから、海琉となら、これから先何があっても私は大丈夫。


「うん。だから、言ってよ」


「あ……あぁ。俺がずっと一緒にいてやるよ。これから先、若葉が死ぬまでずっと一緒に」


「ありがとう……海琉」


そう呟いて、私は海琉を見上げて目を閉じた。


夕焼け空の下で二人、唇を重ねて。


私は涙を流した。


呪いによって死んでしまった人達、大きな傷を負ってしまった人達。


でも、全部終わって、これから始まることもあるんだと考えたら、自然と涙が出た。


私は生きるよ。


呪いによって死んでしまった人達の分も。


夕日に照らし出された一本の長い影を見て、私はまた涙を流した。