病院を出て、どこに行くというでもなく海琉と二人で歩いていた。


時間はもう夕暮れ。


空が赤く染まり始めて、明日もいい天気なんだろうなと考えていた。


「摩耶と光星、大丈夫そうだね」


「あ?何言ってんだよ。まだ怪我が治ってねぇのに」


「そうじゃなくて!ほら、光星がいれば摩耶は大丈夫かなって」


私がそう付け加えると、海琉は「あぁ」と小さく呟いた。


本当に……光星の摩耶に対する想いは羨ましく感じるよ。


「それで?海琉はどうなの?光星みたいな告白は期待してないけど、私には何も言ってくれないの?」


「何もって……何を期待してるんだよ」


少し照れたように、視線を逸らす。


悪夢を見ていた時は、あんなに言ってくれたのに、終わった途端にこれなんだから。


まあ、海琉らしいと言えば海琉らしいよね。


「だって……このままずっと変わらない関係でいるわけ?もう一度、ちゃんと聞きたいなって」


「いやいや、若葉は本当にそれでいいのかよ。俺だぞ?今ならまだ引き返せるんだぞ?」


何よ、あんなことを言っておいて、今になって尻込みしてるの?


挫けそうな時、もうこれ以上進めないって諦めかけていた時に、海琉がの言葉があったから、海琉がいてくれたから私は先に進めたのに。