「摩耶……」


そんな摩耶に、私はなんと声を掛ければ良いのだろう。


摩耶は可愛い女の子だった。


もちろん顔だけじゃなく、人当たりの良い子だったけど……顔に大きな傷を作ったのだから、女の子としてはつらいのはわかるよ。


そんな時だった。


部屋のドアが開いて……壁に手を付いた光星が、よろめきながら中に入って来たのだ。


「光星くん!まだ出歩いちゃダメよ!早く病室に戻って!あなたは絶対安静なんだから!」


その脇には、看護師さんが慌てた様子で。


「本当に、本当に少しだけで良いんです。治ってからじゃ遅い……今伝えたいことがあるんです!」


そう言って、私をチラリと見ると、微笑んで見せて。


ベッドの横で看護師さんに捕まるように立った光星は、口を開いた。


「摩耶、俺がいるから。どんな摩耶でも俺は好きだ。これから先、何があっても変わらない。ずっと一緒にいよう。愛してる」


摩耶が被った布団が震えてる。


これは私の出番じゃないね。


「摩耶、光星、私は行くね。またお見舞いに来るから」


「あ……若葉。その……気を落とすなよ」


「何言ってるのよ。摩耶は光星に任せたから。摩耶を泣かせないでよね」


「あ、いや……ああ、うん」


おかしなことを言うんだから、光星は。