きっとそれは、篠目ふみの強い恨みが三人を殺したのだろう。


他に何か可能性があるなら教えてほしい。


それくらいしか、考えられないのだから。


「遠い遠い昔の出来事が、今の時代を生きる人間を苦しめる。自分が犯した罪が、後の世の人達を苦しめることになるなんて、誰も思わなかっただろうね。だからこそ人間は、安易に罪を犯すんだ。自分の子孫に……いや、自分の身に降りかかるなんて思いもせずにね」


「ま、そうだな。それよりいつもの聴かせてくれよ。落ち着くんだよ、あの曲を聴くとよ」


和田先生の言葉を、軽く流すように返事をした海琉。


まあ、その気持ちもわからなくはないかな。


私達は確かに、和田先生と話をする為にここに来たけれど、あの曲を聴きたいと思っていたから。


「全く……わかったよ。この曲を気に入ってくれたなら僕も波音も嬉しいからね」


フフッと笑い、先生はピアノに向き合って、鍵盤に指を乗せた。


そして奏でられる美しい旋律。


海琉がそうしたように、私も目を閉じて、この数日の出来事を思い返していた。


眠気が酷かったせいか、細かい部分はほとんど覚えていない。


よくもあんな限界の状態で、駆け抜けることが出来たもんだと、未だに信じられないよ。