「ところで先生、結局どうなったんだよ。篠目ふみの件は。あの後家に帰って寝込んじまったからよ、詳しく知らねぇんだよ」


「ああ、そうだね。行方不明事件としては解決したようだけど……少し気味の悪い後味になったみたいでね」


海琉の方に座り直して、ポツリポツリと話し始めた。


私も新聞を読んで知ったことだけど、昭和55年に行方不明になった篠目ふみの遺体は発見された。


だけど、発見された遺体は篠目ふみだけではなかったのだ。


作業服を着た、男性と思われる白骨死体が三つ、篠目ふみに抱きつかれるようにして同じ場所に埋まっていたのだという。


不思議だったのは、当時、あの場所を補修していた作業員三人が、その工事が終わった後に行方不明になったこと。


つまり、その作業員三人というのが篠目ふみを乱暴して殺した人達で、でもそれだと工事が終わったのに、コンクリートの下から出て来たというのがおかしいというのだ。


「なんだよそれ、気持ち悪ぃな!工事が終わった後に行方不明になったのに、なんであの場所から出てくるんだよ!」


「うん、警察もそれがわからないみたいだ。僕が犯人じゃないかって疑われたけど、その時はまだ生まれてもいないしね。疑いは晴れたみたいだ」