ニヤリと笑っているけど、口はカタカタと小さく動いている。


怖い……今すぐにでも逃げ出したいのに、怖すぎて目を逸らすことが出来ない!


「あ、ああ……」


私と海琉の悲鳴で、光星と摩耶が何事かと駆け寄って来て。


「な、なんだいきなり大声を……う、うわああああああっ!!」


「きゃあああああっ!!」


二人とも、その「白い物」を見て悲鳴を上げた。


「お、おいおいおいおいおいおい!!なんだよこいつは!どうすりゃいいんだよこれ!!」


いつもは強がっている海琉でさえ、恐怖のせいか動けないでいるみたいで。


ただ声を上げることしか出来ないようだった。


「あ、あわわわわ……な、なんだと言われても……もしかしてこれが『白い物』なのか」


そうだとしたら、もうどうすれば良いかわからない。


確か、「白い物」を見たら目を逸らしてはならない。


混乱する頭で、何とか必死に考えて。


その意味が、今の状況になってようやく理解した。


「も、も、もしかして……ずっと目を見てたら動かないんじゃ……」


「だ、だとしたら、どうすればいいんだよ!捕まっちゃいけない!でも、出口を探さないとならないんだぞ!」