私達は和田先生に言われるままに、廃校から出て車に戻った。


警察に連絡を入れて、警察が来るまでにやることがあるらしくて。


「で?何をしなきゃならないんだよ。もう篠目ふみは見付けた、警察に任せておけば家に帰せる。日記もノートもルーズリーフも、篠目ふみの死体に添えたんだぜ?」


「そうだね。僕達が起きている間に出来ることは、もう全部やったと思う。でもね、僕は波音や早瀬さんの白い物は見たが、篠目ふみは見ていない。早瀬さんのノートにも書いてあっただろう。『これは元の場所に還さなければならない』って」


「いやだから、篠目ふみにだな……」


海琉が食い下がるけど、和田先生は首を横に振った。


「気付いたんだよ。早瀬さんのノートに書かれているのは、知ってはならない言葉と、悪夢の中でのことだ。つまり、悪夢の中にしかいない篠目ふみに還す。自分が誰かわからなくなっている篠目ふみに名前を教えるんじゃないかって。もちろん、これは僕の推測でしかないけどね」


悪夢を見ない為に頑張ったけれど、結局悪夢を見なければならないの?


それに、悪夢の中では現実と違って、白い物に殺されれば目が覚めてしまう。


失敗してしまえば、何度だって眠らなければならないのに。