「フヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒッ!」




渡り廊下に差し掛かった時、後ろから白い物の笑い声が聞こえた。


慌てて振り返ってみると、進波音が私達に向かって接近していたのだ。


「俺が引き付けるから、若葉はルーズリーフを取りに行け!」


手を離し、私の背中を押して前に行かせる。


一度握られた手を離すのは寂しい。


だけど、私は自分の手をギュッと握って。


「わかった。任せたからね」


「おう」


短いやり取りをして、私は廊下を走り、階段を下りた。


「オラ!こっちだ進波音!俺を殺してみろよ!!」


二階から聞こえる、威勢の良い海琉の声が心地いい。


一階、進波音の机が置かれている教室。


そこに辿り着いた私は、急いで机に駆け寄って、その中に手を突っ込んだ。


手に触れる紙の感触。


それを掴んで机の中から取り出した時……目の前に、笑みを浮かべたブレザーの白い物……月菜が現れたのだ。


「つ、月菜……」


さっきは私の名前を呼んでくれたけど、この廃校で出会うと雰囲気が違ってくる。


ダメだ、息を止めなきゃと、慌てて息を止めて月菜のノートを取り出した。