海琉の心配は最もだ。


振動のせいなのか、それとも篠目ふみが起こしているのか、天井がパラパラと崩れているし、いつ崩壊してもおかしくないと思えるくらいに揺れているから。


「やるしかないだろう!このまま放置していても、僕達は近いうちに死んでしまうんだ!命を賭けるよ。これが、僕が逃げ出した悪夢の結末だというなら!」


「くっ!早く頼むぜ!若葉、ノートと日記は持ってるな!?」


不安そうな表情を見せて、私を見た海琉。


「うん、持ってるよ。これを還せば……あっ!」


私はそこまで言って、とんでもないことに気付いてしまった。


この場所に辿り着くことに必死で、進波音のルーズリーフを回収してない!


「か、海琉!ルーズリーフをまだ回収してない!取りに行かなきゃ!」


「な……くそっ!すっかり忘れてたぜ!おい、先生!ここは丸山さんと先生に任せたぜ!俺と若葉は、進波音のルーズリーフを回収して来る!」


削岩機の音がうるさくて、和田先生は首を傾げていたけど、私の手元を見て気付いたのか、驚いたように首を縦に振った。


ここに来るまでに、あの教室の近くは通ったのに。


空気の重さに気を取られて、そこまで頭が回らなかった。